ハノイ工科大学から、長岡へ

interview

ハノイ工科大学から、長岡へ

PROFILE

株式会社サカタ製作所(新潟県長岡市/製造業・金属折板屋根部品/太陽光取付金具)

長岡市与板町に本社を置く株式会社サカタ製作所。1951年の創業以来、公共産業用の金属製折板屋根の構成部品を手がけ、この分野で国内トップシェアを持つメーカーです。近年は太陽光パネルの取付金具・架台の設計開発にも領域を広げています。同社が外国人材の受入れを始めたきっかけは、2020年2月、長岡市からの提案で受け入れたベトナム・ハノイ工科大学の学生2名のインターンシップでした。以来、高度人材として数名を採用し、現在は設計部門と製造部門で5名が活躍しています。取締役総務部長の樋山智明さんに、これまでの歩みと今後の方針を伺いました。

長岡市からの提案が、始まりだった

サカタ製作所が抱えていた課題は、設計・製造部門、とりわけ本社での人材確保でした。

転機は2020年2月に訪れます。長岡市から、長岡技術科学大学の交換留学生によるインターンシップの提案があり、ベトナム・ハノイ工科大学の学生2名を受け入れることになりました。

「優秀で意欲の高い若手人材と出会えたことが決め手となり、その後も高度人材として数名を採用してきました」(樋山さん)

2022年3月には2名が入社。現在はベトナム出身の5名が、設計部門と製造部門で金属プレス加工や製品開発を担当しています。在留資格はいずれも「技術・人文知識・国際業務」、いわゆる高度人材のルートです。

ハノイ工科大学との継続的な関係は、いまも同社の外国人材受入れの原点であり続けています。

図面は写真と実物で。違いを尊重することを、全社の方針に

教育面で意識しているのは、日本語でのコミュニケーションを大切にしながら、伝え方そのものを工夫することです。図面や作業手順は、写真や実物を使って視覚的に伝えるようにしています。

製造の現場では、言葉の理解度と作業の理解度が必ずしも一致しません。言葉に頼りきらず、見て分かる形に置き換える。これは外国人材に限らず、新人教育全般の質を底上げする工夫でもあります。

もうひとつ特徴的なのが、これを個々の職場の努力に任せていない点です。名前や文化の違いを尊重し合うことを、ダイバーシティ&インクルージョンという社内方針として全社で共有しています。

「誰もが安心して働ける職場づくりを進めています」(樋山さん)

受入れの取り組みが「担当者の頑張り」で終わるか、会社の方針として明文化されるか。この違いは、担当者が異動したときに残るものが何かを分けます。

新しい視点が生まれ、社内の伝え方を見直すきっかけに

受け入れて変わったこととして、樋山さんはまず現場の発想の広がりを挙げます。多様なバックグラウンドを持つ人材が加わったことで、新しい視点やアイデアが生まれるようになりました。

変化はそれだけではありません。外国籍社員が増えるなかで、互いの違いを尊重する風土が育ち、社内コミュニケーションのあり方を見直すきっかけにもなったといいます。

「伝わっていると思っていたことが、実は伝わっていなかった」。外国人材の受入れは、しばしばこの事実を可視化します。伝え方を組み立て直す作業は、結果的に日本人社員を含めた全体の働きやすさにつながっていきます。

【解説】「技術・人文知識・国際業務」という選択肢

サカタ製作所が活用しているのは「技術・人文知識・国際業務」(通称・技人国)という在留資格です。理学・工学などの技術分野、法律学・経済学などの人文知識分野、そして通訳・海外取引といった国際業務分野の知識を要する職務が対象になります。

特定技能や技能実習と大きく異なるのは、原則として大学等での専攻内容と職務内容に関連性が求められる点です。その代わり、在留期間の更新に回数の上限はなく、要件を満たせば家族の帯同も認められます。設計・開発職として長く働いてもらう前提の受入れに適した資格です。

海外の理工系大学との接点を持つことが、そのまま採用ルートになる。サカタ製作所とハノイ工科大学の関係は、その代表的な例と言えます。

支援体制を、外部に委ねず社内に

今後の方針について、樋山さんは明確な考えを示します。高度人材に加え、特定技能制度も活用していく。そのうえで、支援体制を外部に委ねず社内に構築するというものです。

特定技能1号の受入れでは、支援計画の実施を登録支援機関に委託する企業が少なくありません。これを自社で担う選択は、負担が増える一方、本人の状況を会社が直接把握できるという利点があります。定着を長期の視点で考えるからこその判断です。

そして育成の先には、キャリアの道筋を用意します。

「高度人材に加え特定技能人材も育成し、長期的に活躍・定着してもらえるよう、リーダー職や正社員登用も視野にキャリアパスを整備していきます」(樋山さん)

長岡での暮らしも、自社で設計する

サカタ製作所の取り組みは、職場のなかだけに留まりません。ワークライフバランスを進めてきた経緯もあり、長岡での生活環境も自社で設計してきました。

その結果として、地域とともに多文化共生が進んできたといいます。

働く場所と暮らす場所は切り離せません。仕事に不満がなくても、生活が立ち行かなければ人は定着しない。地域のなかで暮らしが成り立つところまでを射程に入れているかどうかが、数年後の差になって表れます。

[社員インタビュー]マ ティエン マインさん

製造部 製造課 金型加工グループに所属するマ ティエン マインさんは、ハノイ工科大学の卒業生です。2022年3月に入社し、金型加工の業務を担当しています。

これから受入れを検討する県内企業へ

最後に、これから受入れを考える県内企業へのメッセージを伺いました。

「受け入れる側の体制づくりと、日本、さらに新潟の良さを知ってもらうことが何より大切だと感じています。採用の前に、社内で支える仕組みを整えることで、外国人材も企業も安心して長く歩んでいけます」(樋山さん)

そのうえで、一社で抱え込まないことを勧めます。

「まずは一歩、地域の仲間と情報交換しながら進めることをおすすめします」(樋山さん)

採用が先か、体制が先か。サカタ製作所の答えは明確に後者です。長岡市の提案から始まり、大学とのつながりを育て、生活環境まで自社で設計する。6年をかけて積み上げてきたその順序に、この会社の考え方が表れています。

COMPANY PROFILE

株式会社サカタ製作所

所在地

新潟県長岡市与板町本与板45

業種

製造業(金属折板屋根部品・太陽光取付金具の製造)

創業

1951年

従業員数

175名前後

事業内容

公共産業用(非住宅向け)金属製折板屋根の構成部品、ソーラーパネル取付金具・架台の設計・開発・製造・販売・施工指導。金属屋根部品で国内トップシェア。

外国人材の受入

5名(技術・人文知識・国際業務) ※特定技能の受入体制を新たに構築中 出身国:ベトナム 受入開始:2020年 担当業務:設計部門・製造部門(金属プレス加工・製品開発など)

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よくあるご質問

入国・受入準備・生活について

在留資格(特定技能)の申請は、受け入れ企業または行政書士が行います。申請書類の準備・出入国在留管理庁への申請・審査対応など、手続きは複雑なため、専門の行政書士への委託が一般的です。BNGパートナーズでは、行政書士との連携を含めた手続きサポートを提供しています。

インドネシア人材の多くはイスラム教徒であり、豚肉・アルコールを含む食品を口にしないハラール対応が必要です。社員食堂がある場合はメニューの確認・代替食の用意が必要となります。また、1日5回の礼拝(サラート)のための時間・場所の確保も重要です。多くの企業では、休憩室の一角を礼拝スペースとして提供しています。これらの配慮は、外国人材の定着率に直結する重要な要素です。

住居の手配は受け入れ企業が行うことが一般的です。社宅・アパートの提供、または家賃補助という形が多く見られます。来日直後は生活立ち上げのサポートが特に重要で、最寄りのスーパー・病院・銀行・交通機関の案内など、生活環境の情報提供も定着率に影響します。BNGパートナーズでは、受け入れ準備のチェックリストを提供しています。

採用までの流れや受入体制、入国前教育などについて、事業内で紹介する情報やイベントを通じて確認できます。

制度について

主な要件として、①特定技能外国人と同等の業務に従事する日本人と同等以上の報酬を支払うこと、②社会保険・労働保険への加入、③支援計画の策定(登録支援機関への委託も可)、④欠格事由(過去5年以内の労働関係法令違反等)に該当しないこと、などが挙げられます。中小企業でも要件を満たせば受け入れは可能です。詳細はお問い合わせください。

在留資格の申請・審査・入国手続きなどを含めると、採用決定から就業開始まで一般的に3〜6か月程度かかります。ただし、DMI(インドネシア教習所)経由の候補者は渡航前に技能・日本語・就労マナーを習得しているため、来日後の立ち上がり期間が短縮される傾向があります。スケジュールは採用時期や在留資格の審査状況によって変動しますので、早めの計画と準備をお勧めします。

まずは本サイトの企業インタビュー記事をご覧いただき、自社と同じ業種・規模の企業がどのように取り組んでいるかを確認することをお勧めします。その上で、セミナーへの参加やお問い合わせフォームからの無料相談をご活用ください。「自社が対象業種に該当するか」「費用感はどのくらいか」「手続きはどこに依頼すればよいか」といった基本的な疑問から、BNGパートナーズの担当者が丁寧にお答えします。

2024年3月時点で、特定技能の対象は16分野です。介護・ビルクリーニング・素形材・産業機械・電気電子・建設・造船・自動車整備・航空・宿泊・農業・漁業・飲食料品製造・外食業・自動車運送業・鉄道が対象となっています。本事業では、新潟県の主要産業である運輸交通・製造・農業・宿泊・建設の5業種を中心に取り組みを進めています。

技能実習は「国際貢献・技術移転」を目的とした制度で、原則として転職が認められず、受け入れ企業との雇用契約が前提です。一方、特定技能は「即戦力となる外国人材の確保」を目的として2019年に創設された制度で、一定の要件のもとで転職が可能です。また、特定技能は日本語能力試験と技能評価試験の合格が入国の条件となるため、来日時点で一定の語学力と実務能力が担保されています。技能実習からのキャリアアップ手段としても活用されています。

人手不足が認められる産業分野において、 一定の専門性・技能を持つ外国人材を受け入れるための在留資格です。

定着・トラブル対応について

外国人材の定着には、入社後のキャリアパスと昇給の見通しを明確に示すことが重要です。特定技能1号は最長5年の在留期間ですが、特定技能2号への移行(建設・造船分野等)や、永住権取得につながるルートもあります。本事業の取材事例では、来日5年目に職長として現場を取り仕切るまでに成長した事例や、技能検定取得を目標に日本人スタッフと並んでキャリアアップに取り組む事例を紹介しています。「長く働いてもらうために何ができるか」を採用前から考えることが、定着率向上の鍵です。

労働条件・生活上のトラブル・在留資格に関する問題など、受け入れ後に生じる様々な課題については、BNGパートナーズの相談窓口が対応します。また、新潟県の外国人相談センター・出入国在留管理庁の相談窓口・法務省の外国人在留総合インフォメーションセンターなど、公的な相談機関も活用できます。問題が深刻化する前に早めにご相談ください。

外国人材の受け入れ前に、既存スタッフへの丁寧な説明と意識醸成が重要です。「なぜ外国人材を受け入れるのか」「どのような人が来るのか」「どのようにサポートすればよいか」を事前に共有することで、受け入れ後のトラブルを防ぐことができます。本事業では、社内説明会の進め方や、多文化共生の職場づくりに関する情報も提供しています。

特定技能外国人の離職・帰国は、受け入れ体制の整備によって大きく左右されます。住居・食事・生活環境への配慮、職場での人間関係の構築、キャリアアップの見通しの提示——これらが整っている企業では定着率が高い傾向があります。本事業の取材事例では、来日後3年以上定着している事例も複数あります。万が一離職が生じた場合の対応についても、BNGパートナーズがサポートします。

言語の壁への対応として、多言語マニュアルの整備・翻訳アプリの活用・やさしい日本語(平易な表現)での業務指示などが有効です。本事業の取材事例では、業務手順をイラスト・動画で説明するDXマニュアルを整備した宿泊施設や、インドネシア語版の安全作業手順書を作成した建設会社の事例を紹介しています。また、来日後も継続的な日本語学習を支援することが、長期的なコミュニケーション改善につながります。

外国人材の活用を検討している企業、すでに受け入れている企業、今後の採用や定着支援に関心のある新潟県内企業を対象としています。

外国人材の採用・育成・定着に取り組む新潟県内企業に向けて、 企業事例やイベント情報、関連情報を発信するサイトです。

採用・選考プロセスについて

特定技能1号については、受け入れ人数の上限は原則として常勤職員の総数以内とされています(介護・建設分野は別途規定あり)。最小人数の制限はなく、1名からの採用が可能です。初めての受け入れは1〜2名から始め、受け入れ体制を整えながら段階的に増員するケースが多く見られます。

はい、オンライン面接が可能です。インドネシア現地での対面面接を希望される場合は、渡航手配のサポートも行っています。面接では通訳の手配も対応できますので、言語の不安なく候補者の人柄・意欲・スキルを確認していただけます。

特定技能1号の要件として、日本語能力試験N4以上(または国際交流基金日本語基礎テスト合格)が必要です。DMI経由の候補者は、インドネシアの教育施設で来日前に日本語学習を積んでおり、日常会話レベルの日本語能力を持って入国します。業種によっては、来日後も継続的な日本語学習支援が定着率の向上につながります。

渡航前の教育・育成について

受け入れ企業の業種・職種・現場環境に応じた教育内容のカスタマイズについては、BNGパートナーズを通じてDMIおよび送り出し機関と調整することが可能です。特に建設業では、足場の種類・工法・安全基準など企業ごとの違いがあるため、事前のすり合わせが重要です。詳細はお問い合わせください。

DMI(PT DAISAN MINORI INDONESIA)は、インドネシア・チカランに建設・運送業の2コースを設けています。建設コースでは、足場の実技講習・特定技能評価試験(SSW)対策・日本語教育・就労マナー講習を約6か月かけて実施します。運送業コースでは、日本式の学科・技能教育(普通一種・準中型・普通二種対応)に加え、接遇マナー・危険予知トレーニング・荷役作業の座学を行います。「来日してから覚えるのではなく、覚えてから来日する」という考え方のもと、即戦力として活躍できる人材を育成しています。

費用・契約について

外国人材の受け入れに関連する補助金・助成金として、厚生労働省の「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」などが活用できる場合があります。また、新潟県独自の支援制度についても、最新情報をお問い合わせください。助成金の活用には申請要件・タイミングがありますので、採用計画の早い段階でご相談いただくことをお勧めします。

採用にかかる費用は、送り出し機関への手数料・在留資格申請費用・渡航費・初期生活支援費用などを合わせると、1名あたり50〜100万円程度が目安となります(業種・条件により変動します)。加えて、月々の給与・社会保険料・住居費用(企業負担の場合)が発生します。活用できる補助金・助成金もありますので、費用の詳細はお問い合わせください。

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